福井県勝山市にある白亜紀前期の地層(約1億2000万年前)で
2013年に見つかった鳥のほぼ全身の骨格化石について、
福井県立大恐竜学研究所などは14日、新種と確認されたと発表した。
ドイツで見つかったジュラ紀後期の「始祖鳥」(約1億5000万年前)
よりは新しいが国内では最古で、専門家は
「鳥の進化を知る上で貴重な発見」としている。
論文が英科学雑誌「コミュニケーションズ・バイオロジー」
(電子版)で15日に公開された。
学名は「フクイプテリクス・プリマ」。
「福井」にラテン語で「翼」を意味する「プテリクス」と
「原始的」を意味する「プリマ」を加えた。
化石が見つかったのは13年8月。四肢骨や肋骨(ろっこつ)など、
100個以上の骨が岩石の中で立体的に保存されていた。
県立大などのチームがCTスキャンなどを活用して調べたところ、
鳥の尾羽の根元近くにある「尾端骨(びたんこつ)」に突起物があるなど、
他の鳥類化石にない特徴が判明。
新種と断定する決め手となった。
骨組織の分析から、化石は1歳未満の若い個体とみられ、
翼を広げると約50センチの大きさで、羽ばたきは得意ではなかったと
推測される。
チームは、ニワトリのように地上で羽ばたきをしていたか、
グライダーのような滑空飛行をしていた可能性があるとみている。
論文の筆頭著者で県立大恐竜学研究所の今井拓哉助教(恐竜学)は
「白亜紀前期の鳥類の化石は9割以上が中国東北部で発見されており、
進化や生態を理解するうえで、他の地域で見つかった意義は大きい。
特徴的な尾端骨の一方、3本に分かれた指など恐竜との
共通点が多くみられるのも興味深い」と話している。
化石は15日から県立恐竜博物館(勝山市)で展示される。【大森治幸】
~~~毎日新聞より~~~