ペットの熱中症

2019.09.07

9月になりました。
7月、8月ほど暑い日は少ないかもしれませんが、
残暑は侮れません。
ペットを飼っているみなさん、
「うちの子は、熱中症は大丈夫だ!」と思っていませんか。

仕事を終えて帰宅したら、吐いたあとがあって元気がないとか、
ぐったりしていているときは、実は熱中症かもしれません。
「ただいま」とドアを開けたとき、犬や猫は迎えてに来ているか、
視線が合うか、室内に排泄物が多量にないかなどを
毎日、チェックしてくださいね。

今回は犬や猫の熱中症の症状やその対策について解説します。

犬や猫の熱中症とは
 犬や猫の体温は、38.5度前後です。
それが、熱中症になると39.5度(41度という説もあります)以上に上がります。
体温が上昇することで、臓器が機能しなくなり、
最悪のケースですと心臓が上手く動かないこともあるのです。

 犬や猫が汗だくで出迎えてくるという光景を見た人はいないと思います。
彼らには、人間のように汗腺はなく、肉球に少し汗腺がある程度なので、
見た目ではほとんど汗をかいているのがわかりません。
犬や猫は呼吸で体温の調節をしています。暑い日に大きく口を開けて、
ハァハァいう口呼吸で放熱しています。
また、猫は玄関の床などの涼しいところを探すなどして体温調節も行なっています。

熱中症の症状
犬や猫が熱中症になると下記のような症状が現れます。

・いつもより反応が鈍くなる。

・パンティング呼吸(ハァハァの激しいもの)をする。

 これは口を大きく開けて呼吸することです。心臓が飛び出るのではないか、
と思うほどです。

・症状がすすむと、痙攣、下痢、嘔吐、歯茎の色などが、
真っ赤から真っ青になりひどい場合は黒っぽくなる。

・意識朦朧や意識がなくなっている。脳の異常は目を見ればわかることが多いです。
目が振動していなかも確かめてくださいね。
(留守中に熱中症になっていると、帰宅時には、このような状態になっていることも)

熱中症の症状が出たら
熱中症の症状がみえたら、次のような対処をしましょう。

・水を飲むことが出来れば冷たい水を飲ませる。

・エアコンの効いた涼しい環境に連れて行く。

・体を保冷材などで冷やす。

・様子がおかしい場合は動物病院に連れて行く。
その際は事前に連絡し、すぐに診察してもらえるように。
(嘔吐していたら、そのことも告知しましよう。)

熱中症にかかりやすい種類
犬や猫の中でも熱中症にかかりやすい種類や特徴があります。

・毛量が多い犬や長毛犬や原産地が寒い地域の子
(セントバーナード、シベリアンハスキー)など)

・幼い子やシニアの子

・短頭種(フレンチブルドック、シーズー、パグ、ブルドッグ、エキゾチックショートヘアなど)

・肥満気味の子

・心臓病を持っている子

・慢性疾患を持っている子

どんな子でも、条件さえ揃えば熱中症になるので、気をつけてあげてくださいね。

犬と猫ではどちらが熱中症にかかりやすい?
猫に比べると犬の方が熱中症にかかるリスクが高くなります。

猫が熱中症にならないわけではありませんが、高いところに登ったり、
もぐったりと上下の運動が出来るので、快適な気温のところに移動しやすく、
犬に比べると熱中症になりにくいのです。
猫の原産地はエジプトの辺りの子が多いので、猫の方が暑さに強いです。
しかしノルウェージャンフォレストキャットの原産はノルウェーなので、
この子たちはミックスの猫より熱中症になりやすい傾向があります。

9月の熱中症の予防
・エアコンの効いた部屋に犬や猫を放す
(暑い時間帯にエアコンが作動するようにタイマーで予約)

私は17歳のミニチュアダックスフンドと暮らしています。
いつも、一部屋だけ寒いぐらいにエアコンをつけて
(設定温度22度)仕事に行きます。
他の部屋にも行けるように、ドアは開けっ放し。
犬はその部屋が寒いとエアコンについていない部屋に行き体温調節をしています。

猫を飼っている知人によりますと「夏はエアコンをつけっぱなしにして、電気を点けないコタツを置くのが秘訣のひとつ」ということです。
涼しいエリアと少し温かいエリアがあるように工夫することも大切です。

チワワなどの寒がりの犬の場合は、綿の服を着せて、
エアコンの部屋で過ごさせるのもひとつの方法です。

・水分補給をこまめにさせる。

理想は2~3時間に1回です。留守が多いご家庭は、
水を飲んでいるかどうかわからないので、ドライフードに水を入れるなどしてください。

・水飲み用の皿を1頭に対して2~3個置く。

・湿度の多いときは特に注意する。(エアコンで除湿を忘れずに)

・暑い日の散歩は控える。

素手でアスファルトに触れてから、散歩の時間を考えましよう。

現在、熱中症を防ぐための様々なグッズも販売されています。

・お散歩ベスト(散歩に行く前に水につけて、地面の反射熱から体を守るものです。)

・冷却用のマット(マットがひんやりしているので、座ると熱がこもりません)

撮影筆者
お散歩ベストと冷却のシーツで熱中症対策の17歳の愛犬

筆者の知人が愛犬を撮影
犬専用のプールもあり、こんな恵まれた犬もいます。

終わりに
 9月に入りましたが、まだまだ残暑が厳しい日が続きそうです。
ぜひエアコンをつけた環境で犬や猫を飼ってあげてください。
きめ細かく室温の管理が出来る飼い主さんこそ、犬や猫を愛する人ですね。
室温を制する人は、犬や猫を夏バテにさせることもありません。
体調不良から免疫力が落ちて、がんなどの重篤な疾患になることもあります。
「何かいつもと違う」「年を取ったな」と思ったら
動物病院で健康診断をしてもらいましょう。

~~~石井万寿美 | まねき猫ホスピタル院長 獣医師~~~

真夏は、ペットのお散歩に苦労します。
早朝だろうが夕方だろうが、あの暑さはハンパないです。
ウチはワンコたちが高齢なので、山の方の涼しいところをさがして
連れて行ってますが、車で移動する距離ばかり長くなり
本当に大変です。
はやく涼しくなって欲しいです。

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