浮いたタイヤ

2019.09.02

お盆のような大型連休の高速道路で

微動だにしない渋滞にハマってしまったとき、

ふと隣のレーンにいる大型トラックを見ると、

タイヤの一部が浮いていた。

こんなシーンを見たことがある人も少なくないのではないでしょうか。

じつはこれ、サスペンションの故障などではなくれっきとした装備のひとつです。

タイヤを道路から浮かせることで、さまざまなメリットをもたらしてくれる秘密兵器。

 一般的な乗用車は前後に2つの車軸を持ち、

それぞれ左右に1本ずつのタイヤという4本で車両を支えていますが、

たくさんの荷物を積むトラックでは2トンクラスでも後輪がダブルタイヤとなり

合計6本のタイヤが付きます。

 そして、2トントラック以上に大きく重い荷物を積む大型トラックでは、

最大積載量に応じて車軸も増えていきます。

これは道路交通法で積載重量に対する車軸数が定められているからであり、

搭載できる最大積載量に対してタイヤのキャパシティーが超えないようになっているというわけです。

 しかし、これはあくまでも荷物を積んだときの話であり、

空荷のときは当然タイヤにかかる負担は軽くなります。

そんなときに必要のない車輪を浮かせてタイヤを地面に接地しないようにすることで、

さまざまな負担を軽減させようというのが、「リフトアクスル機能」なのです。

■リフトアクスル機能でタイヤを浮かせることのメリットとは

 リフトアクスル機能によってタイヤを浮かせることで

得られるメリットは少なくありません。

第一にタイヤが地面に接地していないため、

当然タイヤが摩耗することを防ぐことができます。

さらに当然ブレーキング時も浮いている車輪は影響を受けませんから、

ブレーキ周りの消耗も抑えることができます。

 また、接地しているタイヤの本数が減ることで

走行抵抗が減少するため燃費も向上しますし、

カーブや交差点を曲がるときも抵抗が減ることで

回頭性がアップするというメリットも存在します。

■最大のメリットは、高速道路の料金区分が変わること

 そして、最大のメリットとなるのが、「高速道路料金の低減」です。

 高速道路には「軽自動車・二輪車」、「普通車」、「中型車」、

「大型車」、「特大車」と料金区分が分かれていることがほとんどで、

車軸数の合計が4車軸以上のトラックは「特大車」となります。

 しかし、ここでリフトアクスル機能を使って1軸を浮かせることで、

“4車軸以上”ではなくなるため、「大型車」の料金で通行できるのです。

ちなみにETCレーンでは、路面に埋め込んだセンサーで車軸の数を認識して

車両区分を判断しているため、タイヤがキチンと路面から離れていることが必須です。

■実際どれくらいの高速道路代が削減できる?

 たとえば、東名高速道路の東京インターから浜松インターまでを走ったとします。

特大車では1万4900円となりますが、大型車では9020円になりますので、

およそ40%も高速道路代を削減することができるため、

頻繁に高速道路を走行する大型トラックにとっては、非常に重要な機能といえるでしょう。

 なお、このリフトアクスル機能は、現在では自動化がされており、

センサーによって積載量を判断し、

適切に車軸を上げ下げしてくれるタイプのものが主流となっています。

そのため、うっかり上げ忘れて高速道路代が高くなることも、

下げ忘れて重大なトラブルが発生することも起こりにくくなっています。

 まれにこのリフトアクスル機能を改造し、

荷物を積んだ状態でも車軸が上がるようにして

高速道路代をごまかそうとする悪い人もいるようですが、

そのような行為をおこなった場合は道路整備特別措置法によって

30万円以下の罰金と、免れた通行料金の3倍が請求されます。

 当然耐荷重も適正ではないため、重大なトラブルや事故を招く可能性も高くなります。

もし、そんなことをして事故を起こしてしまったら、

取り返しがつかない状況になってしまうのは明らかです。

※ ※ ※

 以上のように、日頃お世話になっていながらも意外と知らないトラックのお話。

日本の物流を支える働くクルマには、じつはこんな隠れた機能があったのでした。

 

~~~くるまのニュースより~~~

 

先日、首都高で渋滞にハマったときに

横を走るトラックが、2台続けてこのタイヤでした。

スペアタイヤにしてはおかしいし、何なんだろう??って

思ってましたが、やっとわかりスッキリしました!

 

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