食いしん坊のイタチさん。
大好きなお菓子を落としてしまいました。
「3秒以内に拾ったから、食べても大丈夫かな?」。
そこへ、ヨミドックが通りかかりました。
Q お菓子を落としちゃった。3秒たっていないから、食べてもいいよね?
ヨミドック 3秒以内に拾えば大丈夫という「3秒ルール」ですね。
同じように考える人は海外にもいて、
欧米では「5秒ルール」と呼ばれているようです。
でもそれ、科学的根拠がありません。
Q ほんと?
ヨ 「5秒ルール」をまじめに検証した、米国の大学の報告があるんです。
グミやパン、スイカなどを床に落とし、
拾うまでの時間を1秒未満から300秒まで4段階で調べると、
落ちていた時間が長いほど、多くの菌が食品に移っていました。
ただ、食品の種類や床の材質によっては、落ちていた時間が1秒未満でも、
長時間、床に置いた時と同じくらいの菌が付いていました。
Q じゃあ、おなかを壊しちゃうの?
ヨ 拾った物を食べて、すぐ食中毒になるかどうかは、
付着した病原体の種類や量、その時の食べた人の体の抵抗力で変わります。
下痢や嘔吐(おうと)を引き起こすノロウイルスや
腸管出血性大腸菌O(オー)157などは、
病原体の数が少なくても感染するため、
わずかでも付いてしまうと危険です。
こうした病原体は付着すると、意外に長くその場にとどまっています。
また、自分の抵抗力が落ちているかどうかは、なかなか気付きにくいものです。
Q 自分の家の中もだめ?
ヨ 家の中のどんな場所にどの程度の菌がいるかを国内で調べたところ、
食卓やダイニングの床には、トイレの床と同程度の細菌がいたことが
わかりました。
深刻に考える必要はありませんが、
〈1〉水気のある場所
〈2〉汚れがたまりやすい場所
〈3〉温かい場所――は菌が増えやすいので注意してください。
Q なんだか怖くなってきた……。
ヨ 実際に食中毒になった人は多くないでしょうし、
あまり神経質にならなくてもよいでしょう。
とはいえ、どこに、どんな病原体がいるかはわかりません。
「3秒以内なら安全」とは考えない方がいいですね。
(森井雄一/取材協力=萱場広之・弘前大教授、矢野剛久・花王安全性科学研究所研究員)
~~~読売新聞社 ヨミドクターより~~~