犬は人が思っているよりもずっと”人間らしい”

2019.07.06

 犬を飼っている人なら驚かないかもしれないが、

人類最高の友人である犬は、人っぽい行動をとることが多いことが、

研究によって明らかになってきている。

 これまでの研究により、犬は表情を読み、嫉妬を伝え、同情を表現し、

テレビを見られることがわかっている。専門家によると、

彼らが人間みたいなこれらの特技を身につけたのは、

オオカミから家庭用ペットへと進化を遂げた、

1万1000年前から1万6000年前の間のことなのだそうだ。

(参考記事:「犬がテレビに夢中になる理由」

 

 米エール大学比較認知科学研究所のローリー・サントス所長は、

とりわけ、犬が「人に注意を払い、人と良好な関係を築き、人に寛大である」ことが、

まるで人間にそっくりな特徴に結びついたと言う。

 以下に、われらが仲間である犬の、”人間らしさ”を示す研究をいくつか紹介しよう。

(参考記事:「犬の遺伝子を科学する」

人間の子どもを見つめるパグ。米アラスカ州ランゲル・セントイライアス国立公園にて撮影。
犬は、飼い主と他者のやり取りをよく観察していることが、最新の研究で明らかになった。
(PHOTOGRAPH BY RICH REID, NATIONAL GEOGRAPHIC )
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人間観察する犬

 いい人と悪い人を見分ける手段である人間観察は、

人間どうしの交流における重要な役割を果たしている。

 学術誌『Animal Behaviour』8月号に発表された論文によると、

犬も同じように人間観察をしているようだ。

 研究では、54匹の犬を「協力者」「非協力者」「コントロール」の3グループに分け、

飼い主がコンテナからテープを出すのに苦戦している様子を見せた。

 協力者グループでは、飼い主が第2の人物に助けを要請し、

コンテナを押さえてもらった。

非協力者グループでは、飼い主が第2の人物に助けを要請するものの、

助けを得られずに戻ってきた。コントロールグループでは、

第2の人物は助けを求められないままその場を去った。

すべての実験において、第3の「中立者」が部屋に座っていた。

 

 1回目の実験を終えたあと、中立者と協力者(または非協力者)の両者が、

犬にご褒美を与える。

 実験の結果、非協力者グループの犬は、中立者をもっとも好み、非協力者を嫌った。

一方、協力者グループでは、協力者と中立者に対する好みに差は見られなかった。

これは、人間の幼児やフサオマキザルに見られる特徴だ。

 つまり犬は、飼い主に意地悪な人を無視することで、

飼い主の肩を持っているのかもしれない。

それが真実かどうかは、今後の研究に期待である。

(参考記事:「犬や猫は「人間アレルギー」になるか」

 

視線を追う(ただし、条件付き)

 人間、チンパンジー、ヤギ、イルカ、アカアシガメなど、

多くの動物にとって、視線を追うのは本能である。

オーストリアのウィーンにあるメッセーリ研究所のリサ・ワリス氏によると、

その理由は、目前の脅威から「おいしいベリーのありか」まで、

あらゆることへの注意を喚起できるからだ。

 これまで、犬が人の視線を追うのは、エサかおもちゃが関係するときだけだと考えられてきた。

ところが、新たな研究により、何もない空間への視線でも追うことが示された。

ただし、訓練を受けていない場合に限る。

 『Animal Behaviour』誌に同研究を発表したワリス氏は、

「彼らにはそれができるはずということは、以前からわかっていました。

ただ、訓練は盲点でした」と述べている。(参考記事:「戦場で兵士を守る犬たち」

 ワリス氏らが行った最新の実験は、訓練レベルと年齢が異なる145匹のボーダーコリーを対象に行われた。

目的は、年齢、習慣、訓練が、犬の視線追尾に与える影響を知ることである。

 ワリス氏は、自分がドアを見たときの犬の反応を調査した。

すると、なんと訓練を受けていないボーダーコリーのみが、彼女の視線を追ったのだ。

訓練を受けた犬は、それを無視した。訓練を受けた犬は、

人の視線の先ではなく、顔に注目することを学んでいるからかもしれない。

 訓練を受けていない犬に対し、ワリス氏の顔を見るように5分間訓練したところ、

視線を追うという本能を無視するようになった。

 さらに驚くことに、訓練を受けていない犬は、困惑した様子で、

ワリス氏の顔とドアを交互に見ていたという。この行動は、

それまで人間とチンパンジーでしか観測されたことがなかった、

「チェックバック」(いわゆる「二度見」)と呼ばれるものである。

「今後この種の研究をするにあたって、訓練の影響を考慮に入れなければならないことを学びました」

とワリス氏は言う。

 

今後の研究

 人間の場合、加齢により短期記憶と論理的推測の低下が速まり、

新しいタスクの学習が困難になる。

過去の研究から、犬にも同様の傾向があることが示されている。

しかし、犬の長期記憶についてはまだわかっていないことが多い。

 そこでワリス氏らは現在、若い犬と高齢の犬によるタスクの学習過程の違いと、

数カ月後の記憶状態を研究している。

 

 まだ実験途中だが、ワリス氏は、高齢の犬に新しい技を教えるのは困難である

(が、不可能ではない)という結果を予測している。

(参考記事:「カリスマ ドッグトレーナー、シーザー・ミランに聞いてみた」

 

~~~~ NATIONAL GEOGRAPHIC より~~~~

 

たしかに、犬は人間の行動をよく見ています。

うちでも何度かそう思うことがありました。

前に記事でも書いた気がしますが、人間の思うことを感じる力は

かなりあると思います。

侮ってはいけません。

犬は人間が思うよりずっとデリケートで、知的です。

まあ・・・人間もそうであるように

個体差はありますが・・・笑

 

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